症状別解説

下痢

下痢は,水分の多い便や排便回数の増加として現れます.感染症,食事,薬剤,炎症性腸疾患,過敏性腸症候群など原因は多く,急性か慢性か,血便や発熱を伴うかを確認します.

急性と慢性で確認する内容が異なる

急性下痢は感染や食事をきっかけに起こることが多く,脱水への注意が必要です.4週間以上続く慢性下痢では,薬剤,胆汁酸,吸収不良,炎症,内分泌などを調べます.

便の回数だけでなく,性状,血液,夜間症状,腹痛,体重変化,旅行歴,服薬歴を確認します.

腹部だけでなく腰仙部と緊張状態をみる

長生医学的には,胸腰移行部,腰椎,仙骨,腹部の緊張,呼吸,精神的負担との関連を確認します.緊張や不安で排便が促される人もいますが,感染や炎症による下痢を手技の対象とすることはできません.

まず水分状態と全身状態を確認し,原因が明らかでない場合や長引く場合は医療機関での検査を優先します.

施術前に確認すること

  • いつから,1日に何回,どのような便が出るか
  • 血便,黒い便,粘液,発熱,嘔吐の有無
  • 腹痛の位置と強さ,排便で変化するか
  • 抗菌薬,下剤,糖尿病薬など服薬との関係
  • 体重減少,夜間の下痢,家族や周囲の同症状

感染や炎症が否定された後に身体の緊張を整える

医療機関での確認を経て,施術が適すると判断できる場合に,腹部を強く圧迫せず,背部,腰部,骨盤,呼吸に伴う緊張を確認します.

目的は下痢を直接止めることではなく,長引く症状に伴う腰背部のこわばりや,緊張しやすい姿勢を整えることです.

日常生活で意識すること

水分と電解質を少量ずつ補い,アルコールや脂肪の多い食事を控えます.自己判断で下痢止めを使うと適さない場合があるため,血便や発熱があるときは医療機関へ相談します.

慢性の場合は,食事,服薬,排便,体重を記録します.

参考資料

  1. Smalley W, Falck-Ytter C, Carrasco-Labra A, et al. AGA clinical practice guidelines on the laboratory evaluation of functional diarrhea and diarrhea-predominant irritable bowel syndrome in adults. Gastroenterology. 2019;157(3):851-854. doi:10.1053/j.gastro.2019.07.004
  2. Schiller LR, Pardi DS, Sellin JH. Chronic diarrhea: diagnosis and management. Clinical Gastroenterology and Hepatology. 2017;15(2):182-193.e3. doi:10.1016/j.cgh.2016.07.028

医療機関での確認を優先する状態

次の状態では,脱水,感染症,消化管出血,急性腹症などを確認します.

  • 血便,黒い便,膿のような便が出る
  • 高熱,強い腹痛,腹部の硬さを伴う
  • 尿が少ない,口が乾く,立つとふらつくなど脱水症状がある
  • 嘔吐が続き,水分を保てない
  • 乳幼児,高齢者,妊娠中,免疫が低下している人の下痢
  • 体重減少や夜間の下痢があり,症状が長く続く