症状別解説

下肢の冷え

脚の冷えは,実際に皮膚温が低い場合と,温度は保たれていても冷たく感じる場合があります.両側か片側か,色や痛みの変化を伴うかを確認し,血管,神経,内分泌,貧血などの背景を見落とさないことが大切です.

冷えの感覚と循環の異常を分けて考える

皮膚の血流は,自律神経,外気温,筋活動,血圧などで変化します.末梢動脈疾患では,歩行時のふくらはぎ痛,傷の治りにくさ,足の色調変化を伴うことがあります.

神経障害では,実際の温度とは異なる冷感や灼熱感が出ることもあります.左右差,皮膚色,むくみ,痛み,しびれを確認します.

腰仙部と下肢の動きを確認する

長生医学的には,腰椎,仙骨,骨盤の状態と,下肢の筋緊張,足関節の動き,歩行を関連づけてみます.座り続けて下肢の筋活動が減ると,冷えを感じやすくなることがあります.

ただし,動脈の閉塞や血栓,内分泌疾患,貧血などは手技で判断・改善できるものではありません.疑いがある場合は検査を優先します.

施術前に確認すること

  • 両脚か片脚か,いつから冷えるか
  • 歩行時の痛み,休むと軽くなる症状があるか
  • 皮膚の白さ,紫色,赤み,傷,潰瘍がないか
  • むくみ,しびれ,灼熱感,感覚低下がないか
  • 糖尿病,喫煙,脂質異常症,甲状腺疾患,貧血の有無

筋活動と姿勢を利用して循環を支える

施術が適すると判断できる場合に,腰仙部,骨盤,股関節,膝,足関節の動きを確認し,過度な筋緊張を整えます.ふくらはぎの筋ポンプが働くよう,無理のない歩行や足関節運動へつなげます.

強く揉むことを目的にせず,皮膚の状態や左右差を確認しながら進めます.

日常生活で意識すること

長時間座るときは,1時間ごとを目安に足首を動かし,短く歩きます.靴下や靴は締めつけすぎず,低温やけどを避けるため,感覚が鈍い足へ熱い湯たんぽを直接当てないようにします.

喫煙は末梢循環へ影響するため,禁煙について医療機関へ相談します.

参考資料

  1. Gornik HL, Aronow HD, Goodney PP, et al. 2024 ACC/AHA guideline for the management of lower extremity peripheral artery disease. Circulation. 2024;149:e1313-e1410. doi:10.1161/CIR.0000000000001251
  2. Aboyans V, Ricco JB, Bartelink MEL, et al. 2017 ESC Guidelines on the diagnosis and treatment of peripheral arterial diseases. European Heart Journal. 2018;39(9):763-816. doi:10.1093/eurheartj/ehx095

医療機関での確認を優先する状態

次の状態では,急性の血流障害,血栓,感染症などを確認するため,速やかな受診が必要です.

  • 片脚が突然冷たくなり,白色や紫色になった
  • 激しい脚の痛み,しびれ,動かしにくさが急に出た
  • 片脚だけが急に腫れ,熱感や痛みを伴う
  • 足の傷や潰瘍が治りにくい,黒く変色している
  • 歩くと脚が痛み,休むと軽くなる状態が進んでいる
  • 発熱を伴う赤みや腫れがある