画像の変化と症状は同じではない
椎間板の高さの低下,骨棘,椎間関節の変化などは年齢とともに増えます.これらが腰痛や脊柱管狭窄に関係することはありますが,画像所見だけで痛みの原因を確定することはできません.
立位や歩行で悪化するのか,前屈や後屈で変化するのか,脚のしびれを伴うのかを確認します.
腰仙部と胸郭の連動をみる
長生医学的には,腰仙部だけでなく,胸腰移行部,胸郭,骨盤,股関節のバランスを確認します.腰の動きが小さいと,立ち上がりや方向転換の負担が股関節や膝へ移ることがあります.
変形を元に戻すと説明するのではなく,現在保たれている動きと筋力を活用し,日常動作の負担を減らすことを目指します.
施術前に確認すること
- 朝,歩行,立位,座位のどの場面で痛むか
- 前屈と後屈で症状がどう変化するか
- 脚のしびれ,脱力,歩ける距離の変化
- 骨粗鬆症,圧迫骨折,がん,感染症の既往
- 画像検査の内容と医療機関での治療方針
残された動きを利用して負担を分散する
施術が適すると判断できる場合に,腰椎へ強い負荷を集中させず,胸郭,骨盤,股関節,下肢の動きを確認します.痛みを増やさない範囲で姿勢を変え,立ち上がりや歩行に必要な連動を整えます.
痛みが強い日と軽い日を比べ,活動量,睡眠,長時間姿勢との関係も確認します.
日常生活で意識すること
同じ姿勢を長く続けず,低すぎる椅子や柔らかすぎるソファを避けます.起床直後は急に深く前屈せず,身体を温めてから動きます.
無理のない歩行や下肢の運動を継続し,痛みが長引く場合は医療機関や運動療法の専門家と活動量を調整します.
参考資料
- Middleton K, Fish DE. Lumbar spondylosis: clinical presentation and treatment approaches. Current Reviews in Musculoskeletal Medicine. 2009;2(2):94-104. doi:10.1007/s12178-009-9051-x
- Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR American Journal of Neuroradiology. 2015;36(4):811-816. doi:10.3174/ajnr.A4173
医療機関での確認を優先する状態
次の状態では,圧迫骨折,脊柱管狭窄による神経障害,感染症,腫瘍などを確認します.
- 脚の筋力低下や歩行障害が進んでいる
- 排尿・排便の異常,会陰部の感覚低下がある
- 軽い動作や転倒後に突然強い腰痛が出た
- 安静時や夜間も強く痛み,体重減少や発熱を伴う
- がん,感染症,長期のステロイド使用,骨粗鬆症の既往がある
- 腹部や背部に拍動する感じを伴う強い痛みがある