頭痛の現れ方を整理する
頭痛には,頭全体が締めつけられるように重いもの,片側が脈打つように痛むもの,目の奥へ強い痛みが集まるものなどがあります.同じ人でも,睡眠不足,仕事の負担,月経,天候,飲酒,空腹などによって現れ方が変わります.
医学的には,片頭痛や緊張型頭痛など頭痛そのものが主となる場合と,感染症,眼や耳鼻科領域の病気,血管障害,薬剤など別の状態に伴って起こる場合を分けて考えます.
頭痛が現れる背景
長時間の画面作業や細かな手作業では,頭を前へ出した姿勢が続き,後頭部,首,肩甲骨周囲へ緊張が集まりやすくなります.食いしばり,視作業,睡眠不足,精神的な緊張も重なると,痛みを感じやすい状態が続くことがあります.
長生医学的には,頭痛を頭部だけの問題に限定せず,頚椎第1から第6付近,後頭部,頚部,肩甲骨間,胸腰部までを一続きに見ます.頭痛の型を一つに決めつけず,身体のどこへ負担が集まり,呼吸や姿勢がどのように変化しているかを確認します.
施術前に確認すること
施術内容は「頭が痛い」という訴えだけで決めません.次の点を組み合わせて状態を捉えます.
- 発症した時期と,急に始まったか徐々に始まったか
- 痛む場所,持続時間,頻度,脈打つ感じや締めつけ感の有無
- 吐き気,光や音への過敏,発熱,視覚の変化の有無
- 頚椎の動き,肩の高さ,後頭部と肩甲骨周囲の緊張
- 睡眠,食事,仕事,月経,飲酒,服薬との関係
脊柱を中心に施術を組み立てる
施術では,頚椎の並びと動き,後頭部から肩へ続く筋肉,胸椎と肩甲骨の状態を確認し,頭を支える負担が一部へ集中しないよう施術を組み立てます.頭部だけを強く押すのではなく,呼吸や全身の反応を見ながら刺激量を調整します.
頚椎上部は繊細な部位であるため,強さや速さを競う操作は行いません.症状の経過,年齢,体力,過去の外傷などを踏まえ,必要な範囲へ静かに働きかけます.
日常生活で意識すること
頭痛日記をつけ,起こった時刻,持続時間,睡眠,食事,月経,天候,服薬などを記録すると,繰り返す条件が見えやすくなります.画面作業では30分から60分ごとに視線を遠くへ移し,顎を前へ突き出した姿勢を続けないようにします.
痛みを我慢して首を勢いよく回したり,自分で強く音を鳴らしたりすることは避けてください.いつもと同じ頭痛であっても,回数や強さが増えているときは経過を見直します.
ちなみに,頭痛の分類では
国際的な頭痛分類では,頭痛そのものが病態の中心となる一次性頭痛と,別の病気や外傷などに伴う二次性頭痛を区別します.この区別は,痛む場所だけでなく,発症様式,持続時間,随伴症状を丁寧に確認する必要があることを示しています.
参考資料
- Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. Cephalalgia. 2018;38(1):1-211. doi:10.1177/0333102417738202
医療機関での確認を優先する状態
次のような状態では,症状の経過と身体の状態から,画像検査,血液検査,薬物療法,手術,救急処置などを優先すべきと判断し,施術を控えて受診をお勧めします.
- 突然,経験したことのない激しい頭痛が起こった
- 意識がぼんやりする,ろれつが回らない,手足に力が入りにくい
- 高熱,けいれん,繰り返す強い嘔吐を伴う
- 頭部外傷のあとに痛みが増している
- 妊娠中または産後に,これまでと異なる強い頭痛が現れた
- 頭痛の頻度や性質が短期間で明らかに変化した