症状別解説

夜尿症(おねしょ)

夜尿症は,眠っている間に無意識の排尿が起こる状態です.本人の怠けや意志の弱さとして扱わず,発達と身体の状態を確認します.

夜尿症の背景

夜間の尿量,膀胱へためられる量,尿意で目覚める反応,睡眠の深さなどが関係します.子どもによって発達の速度は異なり,家族歴がみられることもあります.

昼間の尿もれや頻尿を伴わない夜尿と,昼間の排尿症状を伴う夜尿では,確認する内容が異なります.便秘,いびき,睡眠の乱れ,生活環境の変化も関係することがあります.

仙骨と骨盤周囲を含めて見る

長生医学的には,夜尿症を膀胱だけの問題に限定せず,仙骨,骨盤,下腹部,脊柱全体の状態との関係から捉えます.多くは機能的な背景を考えながら,器質的な問題を示す変化がないかも見分けます.

寝ている間の呼吸,姿勢,手足の冷え,便通,日中の活動量なども確認し,排尿だけを切り離さずに生活全体を見ます.

施術前に確認すること

本人と家族へ責任を負わせるのではなく,経過を具体的に確認します.

  • 年齢と,これまで夜間に尿を保てた期間
  • 週に何回あるか,尿量,起こる時間帯
  • 昼間の尿もれ,頻尿,排尿時の痛みの有無
  • 便秘,強い口渇,いびき,睡眠の状態
  • 仙骨,骨盤,腹部,脊柱の緊張と姿勢

子どもの反応に合わせて施術する

施術では,仙骨と骨盤周囲を中心に,腰部,胸椎,頚部までを静かに確認します.子どもへ不安や痛みを与えないことを優先し,強い矯正や長時間の刺激は行いません.

下腹部や骨盤周囲へ触れる場合も,保護者への説明と本人の安心を大切にします.施術中の呼吸,表情,身体の緊張を見ながら進めます.

日常生活で意識すること

寝る直前に一度排尿し,夕方以降の水分は極端に制限せず,日中に必要な水分を十分に取るようにします.失敗を叱ったり,兄弟と比べたりせず,できた日を静かに確認します.

便秘がある場合は,排便習慣,食事,活動量も見直します.記録表を使う場合は,罰や成績表にせず,尿量や生活の傾向を知るために用います.

ちなみに,夜尿症の整理では

国際的な小児排尿の基準では,昼間の排尿症状の有無,便秘,睡眠などを分けて確認することが重視されています.夜尿だけを一律に扱わず,生活と発達の状態に応じて対応を選びます.

参考資料

  1. Nevéus T, Fonseca E, Franco I, et al. Management and treatment of nocturnal enuresis: an updated standardization document from the International Children's Continence Society. Journal of Pediatric Urology. 2020;16(1):10-19. doi:10.1016/j.jpurol.2019.12.020

医療機関での確認を優先する状態

次のような状態では,症状の経過と身体の状態から,画像検査,血液検査,薬物療法,手術,救急処置などを優先すべきと判断し,施術を控えて受診をお勧めします.

  • 昼間にも尿を漏らす,尿が極端に近い,排尿時に痛む
  • 強い口渇,多量の尿,体重減少がある
  • 発熱,腰背部痛,血尿,尿の濁りを伴う
  • いびきや無呼吸が目立ち,日中の眠気が強い
  • 一度6か月以上続けて夜尿がなかった後に再び始まった
  • 脚の力や感覚,歩行に変化がある
  • 成人になってから夜尿が始まった