関節音の種類
指,首,背中,膝,股関節などで,「ポキッ」「パキパキ」「コリコリ」と音がすることがあります.痛みや腫れがなく,一度だけ鳴る音は,直ちに病気を意味するとは限りません.
毎回同じ位置で引っかかる,音とともに痛む,腫れる,力が抜ける,外傷後から鳴り始めた場合は,音以外の症状を含めて状態を確認します.
音だけでなく動きと全身の使い方を見る
長生医学的には,関節の音を音だけで判断せず,痛み,腫れ,動かしにくさ,関節周囲の緊張と合わせて捉えます.関節軟骨の消耗が進んだ状態では軋鳴音を伴うことがありますが,音の有無だけで程度は決めません.
首や背中の音では脊柱全体の動き,膝や股関節では骨盤と足部の使い方,肩では肩甲骨と胸郭の連動を見ます.
施術前に確認すること
どのような音かだけでなく,音が生じる動作と身体の反応を確認します.
- どの関節が,どの方向で,何回鳴るか
- 痛み,腫れ,熱感,引っかかり,不安定感の有無
- 外傷歴,スポーツ,仕事の反復動作
- 関節の可動範囲と左右差
- 周囲の筋緊張,姿勢,脊柱や骨盤との連動
音を鳴らすことを目的にしない
施術では,音を出すために関節を限界まで動かすことはしません.脊柱,骨盤,四肢の動きと左右差を確認し,負担が集中している部位へ働きかけます.
施術前後は,音の大小よりも,痛み,動かしやすさ,安定感,日常動作の変化を確認します.音が残っていても,無理に繰り返して鳴らしません.
日常生活で意識すること
痛みのない関節が時々鳴ることと,痛みを我慢して何度も強く鳴らすことは同じではありません.首を勢いよくひねる,関節を限界まで反復して動かすことは避けます.
音とともに痛みが出る場合は,鳴らそうとせず,その動作を減らします.腫れや熱感があるときは運動量を控えます.
ちなみに,「ポキッ」という音では
滑膜関節が素早く引き離されると,関節液内の圧力が低下し,空洞が形成されます.MRIを用いた研究では,音が生じる瞬間に空洞が形成される様子が観察されました.ただし,首,背中,膝などすべての関節音が同じ仕組みで起こるわけではありません.
習慣的な指鳴らしと手指の変形性関節症との明確な関連は,限られた観察研究では確認されていません.これは,痛みや腫れを伴う関節音を放置してよいという意味ではありません.
参考資料
- Kawchuk GN, Fryer J, Jaremko JL, et al. Real-Time Visualization of Joint Cavitation. PLoS ONE. 2015;10(4):e0119470. doi:10.1371/journal.pone.0119470
- Suja VC, Barakat AI. A Mathematical Model for the Sounds Produced by Knuckle Cracking. Scientific Reports. 2018;8:4600. doi:10.1038/s41598-018-22664-4
- Deweber K, Olszewski M, Ortolano R. Knuckle Cracking and Hand Osteoarthritis. Journal of the American Board of Family Medicine. 2011;24(2):169-174. doi:10.3122/jabfm.2011.02.100156
医療機関での確認を優先する状態
次のような状態では,症状の経過と身体の状態から,画像検査,血液検査,薬物療法,手術,救急処置などを優先すべきと判断し,施術を控えて受診をお勧めします.
- 外傷時に大きな音がして,関節を動かせない
- 急に腫れ,変形,強い熱感が現れた
- 体重をかけられない,関節がロックして戻らない
- 発熱や著しい全身状態の悪化を伴う
- 音とともにしびれや筋力低下が現れた
- 痛みや腫れが短期間で増している