膝の痛みの現れ方
動き始めに痛む,階段を下りるときに痛む,長く歩くと腫れる,膝が伸びきらないなど,現れ方はさまざまです.大腿骨,脛骨,膝蓋骨,半月板,靱帯,筋肉が関係し,年齢による変化だけで痛みの程度は決まりません.
痛みを避けるため反対側へ体重を移すと,股関節,腰,反対側の膝へ負担が広がります.足部の向きや足関節の動きも,膝へかかる力に影響します.
腰,骨盤,下肢の関連
長生医学的には,膝の痛みを膝だけの問題に限定せず,腰椎第3から第5,仙骨,骨盤,下肢全体の状態との関係から捉えます.労働による荷重,過度の運動,長時間の座位など,発症までの経過も重視します.
立位での骨盤の傾き,膝と足先の向き,股関節と足関節の可動範囲を確認し,膝がどの動作で負担を引き受けているかを見ます.
施術前に確認すること
膝のどこが痛いかだけでなく,下肢全体を確認します.
- 発症のきっかけ,腫れ,熱感,外傷の有無
- 立ち上がり,階段,歩行,しゃがみ込みでの変化
- 膝が伸びる範囲と曲がる範囲,ロック感の有無
- 股関節,足関節,骨盤,腰椎の動き
- 体重のかけ方,歩幅,靴,仕事や運動量
膝へ集まる負担を分散する
施術では,腰椎,仙骨,骨盤を確認し,股関節,膝関節,足関節が連動するよう施術を組み立てます.膝の痛い一点を繰り返し押すのではなく,大腿部,臀部,下腿,足部の緊張と動きを見ます.
施術中は,立ち上がりや歩行での体重移動,膝の曲げ伸ばしの変化を確認します.腫れや熱感が強い場合には刺激量を抑えます.
日常生活で意識すること
椅子から立つときは,足を少し手前へ引き,上体を前へ移してから立ちます.階段では痛みが強い時期に無理をせず,手すりを使い,一段ずつ動作を確認します.
運動は量を急に増やさず,翌日まで腫れや痛みが強く残る場合は負荷を下げます.靴底の片減りや,足先の向きも確認します.
ちなみに,膝の変化と痛みでは
画像でみられる変形の程度と,実際の痛みや生活上の困難は必ずしも一致しません.近年の指針では,運動,教育,体重管理などを身体状態に合わせて組み合わせることが重視されています.
参考資料
- Bannuru RR, Osani MC, Vaysbrot EE, et al. OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis. Osteoarthritis and Cartilage. 2019;27(11):1578-1589. doi:10.1016/j.joca.2019.06.011
- Kolasinski SL, Neogi T, Hochberg MC, et al. 2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis. Arthritis Care & Research. 2020;72(2):149-162. doi:10.1002/acr.24131
医療機関での確認を優先する状態
次のような状態では,症状の経過と身体の状態から,画像検査,血液検査,薬物療法,手術,救急処置などを優先すべきと判断し,施術を控えて受診をお勧めします.
- 外傷後に体重をかけられない,または関節が変形している
- 急に大きく腫れ,強い熱感や発熱を伴う
- 膝がロックして動かせない
- ふくらはぎが急に腫れ,息苦しさや胸痛を伴う
- しびれや筋力低下が急速に進む
- 安静時にも強い痛みが続き,短期間で悪化している