耳鳴りの音だけで原因は決められない
耳鳴りは,難聴,騒音曝露,加齢,耳の病気,薬剤などに伴って現れます.顎を動かしたり首の姿勢を変えたりすると音が変化する人もいますが,それだけで原因を顎や首に決めることはできません.
拍動に同期する耳鳴りでは,血管に関係する病気を調べる必要があります.
耳周囲と頚部の緊張を全身とともにみる
長生医学的には,耳の症状と上部頚椎,後頭部,顎,肩甲帯の緊張,睡眠や疲労との関連を確認します.耳鳴りへ注意が集中すると,顎を食いしばり,首や肩の緊張が増えることがあります.
施術で聴力を回復させると説明するのではなく,併存する頚部や顎周囲の負担,睡眠への影響を分けて扱います.
施術前に確認すること
- 片耳か両耳か,いつから始まったか
- 急な難聴,耳の詰まり,めまい,耳痛の有無
- 脈拍と同じリズムで聞こえるか
- 騒音曝露,服薬,顎関節症,頭頚部外傷の有無
- 睡眠,集中力,不安への影響
耳へ直接刺激を加えず周囲の負担を整える
耳鼻咽喉科での確認を受け,施術が適すると判断できる場合に,後頭部,頚部,肩甲帯,顎周囲の緊張と動きを確認します.耳の穴や耳介へ強い刺激を加えず,症状の変化を聞きながら進めます.
耳鳴りを消すことだけを目標にせず,睡眠,姿勢,顎の緊張など,生活への負担を減らすことを考えます.
日常生活で意識すること
完全な無音環境では耳鳴りが目立つことがあるため,就寝時に小さな環境音を利用する方法があります.大音量を避け,必要な場面では耳栓などで聴覚を保護します.
耳鳴りのために眠れない,強い不安が続く場合は,耳鼻咽喉科で治療や支援について相談します.
参考資料
- Tunkel DE, Bauer CA, Sun GH, et al. Clinical practice guideline: tinnitus. Otolaryngology-Head and Neck Surgery. 2014;151(2 Suppl):S1-S40. doi:10.1177/0194599814545325
- Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al. Clinical practice guideline: sudden hearing loss (update). Otolaryngology-Head and Neck Surgery. 2019;161(1 Suppl):S1-S45. doi:10.1177/0194599819859885
医療機関での確認を優先する状態
次の状態では,急性感音難聴,神経疾患,血管病変などを確認します.
- 耳鳴りと同時に,または前後して急に聞こえにくくなった
- 片耳だけの耳鳴りや難聴が続く
- 脈拍と同じリズムの耳鳴りがある
- 強いめまい,歩行障害,顔や手足のしびれを伴う
- 耳痛,耳漏,発熱,耳周囲の発疹がある
- 頭部外傷後に始まった,または急速に悪化している