坐骨神経痛の現れ方
臀部から大腿後面、ふくらはぎ、足先へ痛みやしびれが続くことがあります。座位、前かがみ、咳、歩行などで変化し、脚に力が入りにくい、つまずきやすいと感じる場合もあります。
坐骨神経は腰仙部から骨盤を通り、下肢へ続く長い神経です。実際には腰椎の神経根への刺激、骨盤周囲の負担、末梢神経の圧迫など、症状が生じる位置は一つではありません。
腰から脚までを一続きに見る
長生医学的には、腰椎第3から第5付近、腰仙部、骨盤、股関節から下肢後面へ続くつながりを重視します。神経の走る場所だけを刺激するのではなく、立位と座位での姿勢、体重のかけ方、骨盤と下肢の動きを確認します。
痛みを避けるため身体を傾けている場合、その姿勢が腰、反対側の脚、肩へ新たな負担を生むことがあります。症状のある側だけでなく、全身の代償を見ます。
施術前に確認すること
痛みやしびれの範囲に加え、神経の働きを示す手掛かりを確認します。
- 腰痛の有無と発症のきっかけ
- しびれの範囲、感覚の左右差、触れた感じの変化
- 足首や足趾、膝を動かす力と左右差
- 腱反射、立位、歩行、つま先立ちや踵立ちの状態
- 座位、歩行、前屈、咳などによる症状の変化
腰椎骨盤下肢の反応を見ながら施術する
施術では、腰椎と腰仙部の状態を確認し、骨盤、股関節、殿部、下肢の動きを組み合わせて施術します。しびれている場所を強く揉み続けるのではなく、神経の経路へ無理な伸張を加えない範囲で、緊張と動きの偏りへ働きかけます。
施術中は痛みやしびれの強さだけでなく、脚へ力を入れやすいか、歩き方が変化するか、症状の範囲が広がっていないかを確認します。
日常生活で意識すること
座ると悪化する場合は、座面の高さを調整し、30分から60分ごとに短く立ちます。しびれを消そうとして脚を強く伸ばし続けたり、硬い器具で殿部を押し込んだりしないでください。
脚に力が入りにくいときは、階段、浴室、夜間の移動で手すりと照明を使います。ペダル操作に不安がある場合は車の運転を控えます。
ちなみに神経学的な確認では
一つの反射や一つの感覚検査だけで、障害部位や病名を決めることはできません。痛みの分布、筋力、感覚、反射、歩行などを組み合わせることで、腰仙部の神経根が関係する可能性を整理します。
参考資料
- Jensen RK, Kongsted A, Kjaer P, Koes B. Diagnosis and treatment of sciatica. BMJ. 2019;367:l6273. doi:10.1136/bmj.l6273
- Tawa N, Rhoda A, Diener I. Accuracy of clinical neurological examination in diagnosing lumbo-sacral radiculopathy: a systematic literature review. BMC Musculoskeletal Disorders. 2017;18:93. doi:10.1186/s12891-016-1383-2
医療機関での確認を優先する状態
次のような状態では、症状の経過と身体の状態から、画像検査、血液検査、薬物療法、手術、救急処置などを優先すべきと判断し、施術を控えて受診をお勧めします。
- しびれや筋力低下が急速に進んでいる
- 両脚へ症状が広がり、歩行が難しい
- 尿が出にくい、尿や便が漏れる、会陰部の感覚が鈍い
- 高熱や著しい全身状態の悪化を伴う
- 強い外傷のあとに始まった
- 安静にしていても激しい痛みが続き、通常とは明らかに異なる経過を示す